まだなにも決まっていない blog

まえだ治療院(兵庫県加古川市の整体院)

妄想とは?妄想世界に浸る精神疾患

みなさん、こんにちは、私です。

 

妄想という言葉は、なんとなくでも口にしたり、聞いたりしたことは

あるのではないでしょうか?

 

「好きな彼とのあれやこれやを妄想して」など

 

妄想癖のある人なんて言われ方もありますし、一方的な恨みで被害妄想を募らせてなど

妄想が見られる精神疾患で最も有名なものが統合失調症です。

 

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しかし確かに統合失調症では妄想が浮かんできてしまいますが、

しっかりと「これは妄想」「これは現実」と区別しながら生活できている人も

たくさんいます。

 

そして妄想というのは統合失調症にだけ見られるものでもありません。

 

たとえば

アルコール依存症であれば配偶者が浮気していると強く思う「嫉妬妄想」

 

認知症であれば大切にしていたものが盗まれたと思う「物とられ妄想」

 

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うつ病でも

自分は深刻な病気ではないかと思ってしまう「心気妄想」

決して貧乏ではなくても、お金がないと感じてしまう「貧困妄想」

今こんなにつらいのはなにかのバチがあたっているのではないかと思い込む「罪業妄想」があります。

 

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今回は妄想を詳しくお伝えしたいと思います。

 

妄想と空想

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妄想とよく似たものに空想があります。

これは上記にある妄想癖と呼ばれるような人に当てはまると思いますが、

 

あくまでも自分の頭の中だけで思い巡らせるだけであればそれは空想です。

 

妄想には「確信する」と「訂正不可」のキーワードがあります。

 

どんな事柄でも「絶対にそうだ!」と強く確信し、

他者から「そんなことはない、勘違いだ」と言われても

 

「いやそうに違いないんだ!」

と訂正することが出来ない強い考えのことを妄想と呼びます。

 

もちろんそうに違いないと思うことが事実であればいいのですが、

妄想は事実とはかけ離れているため、病気の症状として取り扱われます。

 

妄想には種類がある

 

妄想には一次妄想と二次妄想があります。

 

 

一次妄想は

妄想に至るまでの経緯が漠然としすぎており、

例えば突然「明日世界は終焉を迎える」といったように、それを聞かされた方も

「ん?なんで?」と理解できないような内容であれば一次妄想と呼びます。

もちろん妄想ですので他者が拍子抜けするようなことでも本人は強く信じています。

 

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二次妄想は

妄想に至るまでにきっかけみたいなものが存在していることや、

ある一定の事実に基づいています。

例えば「歩いていて肩がぶつかった」

その時は「すいません。大丈夫ですか?」ぐらいですんだ出来事などが

「あいつは俺を殺そうとしていたんだ。絶対に次も俺を狙ってくる。」など

肩がぶつかったことは事実ですが、その後殺しにくることはとても現実的ではありません。

 

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また妄想には考えた内容で種類があります。

 

大きくは被害妄想と誇大妄想に分類され、

 

被害妄想は

そんな事実がなくても自分にとって不利益なことが起こると強く確信しているもの

 

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誇大妄想は

そんな事実がなくても自分はとんでもなくすごい人間なんだぞと強く確信している状態です。

 

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被害妄想では

この料理には毒が入っている(被毒妄想)

ずっと誰かに見られている(注察妄想)

ある組織から追われている(追跡妄想)

この街は俺を仲間はずれにしようとしている(迫害妄想)、

きっとあれは俺に嫌がらせするたまに準備しているんだ(関係妄想)

電磁波光線が攻撃してくる(物理攻撃妄想・電磁波妄想)

など

 

誇大妄想では

ガンの特効薬を開発した(発明妄想)

天皇家の子孫である(血統妄想)

女優とつきあっている(恋愛妄想)

など

 

妄想はあくまでも嘘や作り話をしている訳ではありません。

妄想を抱いている本人にはすべて事実として認識されているものです。

 

また妄想は病気による症状ではありますが、

すべてが治療の対象になるかと言われるとそういう訳ではありません。

 

「私はみんなから愛されている」と妄想を抱いているとした時、

その考えが特に日常生活に支障が出ていない、他者に対して無害なのであれば、

 

わざわざ

「いやそんなことはない、何人かはあなたのことを嫌いだといっています」と

いう必要は全くないということです。

 

ポジティブで無害な妄想であれば、それは治療の対象ではありません。

 

誰かに監視されていると感じる「注察妄想」

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「常に誰かに見られているような気がして落ち着かない」

どこにいても人から注視されているのではないかと考えてしまうことが、

頭から離れなくなり、被害的な感情を伴いながら強く確信された時、

 

例えば

「誰かが俺を狙っているんだ。それでずっと監視しているんだ」と

「間違いない。誰かに見られている」となれば注察妄想と呼ばれます。

 

注察妄想までに至ると行動も病的になっていきます。

 

部屋から出られなくなったり、部屋のカーテン、雨戸を常に全部閉めきったり、

行動が進めば、コンセントなどの穴という穴、隙間もテープで塞ぐなども見られます。

 

ただ「誰かに見られているような感じ」というのは、誰にでも起こる感覚で、

珍しいことではありません。

 

特定の条件、一番わかりやすいのは、制服に着替えて仕事をしている時や、

最近ではハロウィーンのコスプレやイベント衣装など、「人から見られている」という感覚は人間であれば容易に起こります。

 

ただそうではない状況などで、見られている(妄想までには至らない)となれば、

 

根底には対人恐怖症や不安障害、強迫性障害などが考えられます。

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これは人の心理(防衛機制)が働いており、自分が過度に人の目を気にするあまり、

「こちらも人が気になるから、相手も同じように自分を気にして見ているに違いない」と、無意識に思っていることが原因になっているのかもしれません。

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時に人の目というのは「顔に出来たおでき」のようなもので、

おできを気にしているのは自分だけで、他人はおできの存在すらも気がついていない

ものかもしれません。

 

一途ではあるが‥。「恋愛妄想」

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恋愛妄想は「●●と私は付き合っている」「●●と俺は結婚している」と

それが事実と異なっているのに強く思い込むものです。

 

これは「アイドルと付き合っている」「芸能人と付き合っている」といったものから、

より身近な人の時もあり、妄想の対象者はさまざまです。

 

ただ本人は本当に付き合っていると思っているわけですから

相手にしつこく連絡をとろうとする、つきまとうなど結果的にではありますが、

ストーカー行為に発展することもあります。

 

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恋愛妄想は

 

妄想とはいえど本人にとっては対象の人と付き合っていますので、

妄想の対象になっている人が他の異性と楽しげにしていれば、

嫉妬も出てきますし、喧嘩に発展してしまうことももちろんあります。

 

また対象の人が近くにいない場合は「遠距離恋愛」のようになりますし、

 

クリスマスやバレンタインなど、一般的には恋人達の記念日なども、

実際には付き合っていないので、一緒に過ごすことはもちろんできないわけですが、

 

そのことで深く傷ついたり、イベントがあるたびにそわそわしてしまうなどが

見られます。

 

会えないのであれば実際の恋愛でも見られる「自然消滅」という形で、

妄想が消えてくれればいいのですが、

 

恋愛妄想の多くは「一途」です。

 

一途に愛しているがゆえに、妄想も消えてくれませんし、

それがなにを意味するかというと実生活で新しい恋ができないことになります。

 

付き合っていると強く思っていますので、もし他の人に自分がなびこうものなら、

それは浮気になってしまうからです。

 

恋愛妄想は本当の恋をスタートさせれないものでもあります。

 

嫉妬にとり憑かれる「嫉妬妄想」

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みなさんも一度くらいは抱いたことがあると思われる嫉妬という感情

そんな嫉妬に+妄想ですので、かなり強烈な組み合わせになります。

 

嫉妬妄想が出やすい代表的な疾患にアルコール依存症があります。

 

毎日酒浸りで仕事にもいっていない。朝起きてはさっそくお酒を飲み

 気がついたら寝てしまい、また朝から酒を飲む

生活費の頼みの綱は妻の稼ぎだけというのもアルコール依存症の人の生活環境でもあります。

 

そんな中ふと思うことは「あいつ今日はやけに帰りが遅いな‥。」

 

「まさか!」

と配偶者の浮気の可能性がふと浮かんでしまい、

 

「あいつ俺がいながら別の男と」と妄想が膨らんでいき、

 

「お前浮気してんだろう!」となれば嫉妬妄想の完成です。

 

これにはアルコールを一日中飲んですごし、

仕事もしていない自分の後ろめたさが背景にあり、

「このままではいつか愛想を尽かされる」と思いながらも、

アルコールをやめることが出来ない心理状態が原因ではないかと言われています。

 

ですので、普段からアルコールをよく飲むが、仕事にはちゃんといけているという

アルコールの熱烈なファンの人ではあまり確認されません。

 

またレビー小体型認知症と呼ばれる認知症では、もの忘れの症状に加えて

「幻視」が見えるという特徴があります。

 

あまりにもはっきりとした幻視になるため、これもまた嫉妬妄想に発展しやすく、

「お前!なに家に男つれこんでんだー!」となることがあります。

 

ただあくまでも本人にしか見えていない幻であるため、

周囲は困惑してしまうものです。

 

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妄想だけがなくならない持続性妄想性障害

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持続性妄想性障害は

長期にわたり妄想が唯一の、または最も目につく臨床特徴がない、

かつ器質性脳疾患、統合失調症気分障害などとも分類できないものです。

 

つまりは妄想だけが存在し続けるものです。

 

その亜型のうち

1)妄想性障害にはパラノイア、敏感関係妄想などが

2)その他の持続性妄想性障害には妄想性醜形恐怖、退行期妄想状態、好訴パラノイアなどが含まれます。

 

妄想性障害は通常は長期間持続し、時には生涯続くような単一の、

あるいは相互に関連し合った一連の妄想が特徴です。

 

妄想の内容は多様で、被害妄想、心気妄想、誇大妄想が多いが、

好訴妄想、嫉妬妄想、体が不格好であると確信する妄想、

他者から自分の体が臭いと思われているといった妄想

同性愛者だと思われていると確信する妄想もあります。

 

明白な幻聴、させられ体験、感情鈍麻などの統合失調症症状は認めないが、

抑うつ症状や幻視・幻触が出現する場合もある。

 

一般的に中年期に発病することが多い

 

妄想に直接関係する行為や態度を除くと、感情、話しかけ、行動などは正常である。

 

私が実際に出会った人は、被害妄想が取れなくてずっとある人を訴えていました。

 

ただそれ以外は全くの正常、なんなら地域でも有名なぐらい「いい人」です。

 

ただ「被害を受けている」「いやがらせをされている」と言う妄想だけはどうしてもなくなりませんでした。

 

執拗に訴訟を繰り返す「パラノイア

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パラノイア(妄想症) paranoia (para=傍、誤った:noeō=認識)

の意味で、持続性妄想性障害のひとつになります。

 

パラノイアの定義は今と昔で違いがあります。

 

クレペリン(1904)が「思考、意欲、行為のまとまりや秩序が完全に保たれているのに、持続的かつ確固不動の妄想体系が非常に緩慢に発展するもの」について名付けたものです。

 

この場合のパラノイアは、ある出来事や機会に

素質(人格)的なものが、発展して妄想の形成に至るもので、統合失調症とは区別されるものである。

 

その後パラノイアと言う言葉は多様な意味に用いられ、概念が議論の課題になっています。

 

現在、パラノイアとは独断的、狂信的、偏執的などの人格傾向を持つ人が、

何らかの出来事に関心して強い感情に色づけられた支配観念をもち、

これが次第に発展して、ある程度了解可能な妄想様観念を形成するに至ったものと考えるのが一般的です。

 

妄想の種類には

血統、発明、宗教、恋愛、嫉妬、心気の妄想があり、被害的なものから誇大的なものまであります。

 

パラノイアで最も印象的なものは「好訴妄想」

些細なことから自分の権利が侵害されたと信じ込み、執拗に訴訟を繰り返す。

これはパラノイアで見られる妄想反応で、病的性格の発展あるいは体験反応です。

 

訴訟とも言わず、隣人への執拗な嫌がらせなどにも発展しやすいです。

 

たまにニュースになる「理不尽な隣人へのいやがらせ」を繰り返している人は、

パラノイアであることが多いです。

 

大抵この手の話で捕まったりしてもパラノイア

「向こうが先に嫌がらせしたんだ!」

「嫌がらせされているのは私の方だ!向こうを捕まえてくれ!」と

自分の行為の正当性を主張するのはそのためです。

 

事実かどうか確かめないといけない

 妄想は多種多様で「宇宙人に狙われている!」

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といったSFのようなものから現実には即しているが、事実ではないことなど

その内容は人の数だけあるかもしれません。

 

特に医療従事者に大切になるのが、話されている内容が本当に妄想であるのか?

 

妄想だと思ったら事実であったり、事実だと思ったら妄想だったりと、

 

必ず裏付けをとらないと本当のことかどうか、不確かなものになるのが、妄想です。

 

私の実体験ですが、

「月は毎年3㎝ずつ地球から離れていっている」と話される患者さまがいました。

 

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この話、みなさんなら妄想か?事実か?どちらだと思いますか?

 

答えは「事実」です。

 

私はそのことを雑学的に知っていましたので、事実として話を聞いていましたが、

 

もうひとり、私についていたスタッフはこの話を聞いたあと詰所でカルテを書いている時に「あの人とんでもないこと言ってましたね。」

「精神症状が悪化しているかもしれないので、Drに報告しておいた方がいいですよね?」と私にいいました。

 

ここが一番、医療従事者が心得ておかないといけないことです。

 

患者さまは事実を話しているだけなのに、自分の無知さで、

患者さまが突拍子もない話をしたと感じたならば、それを全て妄想でかたづけてしまう

 

これは医療従事者として最悪です。

医療従事者が病気をつくっていることになります。

 

知識を何でも知っているわけにはいきませんが、

病気に仕立てあげてしまう前に必ず事実かどうか調べましょう。

 

そしてこんな経験談

 12月に入り女性(以下Aさん)から

「また忘年会シーズンやけどお店とか決めてる?」と、

 

私「いやまだ全然そんな話もしてないですね」

 

Aさん「近所にイタリアンのお店出来たやろ?あれ私の息子のお店なんよ。

この度東京修行から帰ってきて地元でお店オープンしたんやけど、

決まってないなら息子のお店使ったってや」

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私「ほんまですか!知らなかったですわ。是非そこでさせてくださいよ」

 

Aさん「息子に言うておくわ。安くしてくれるようにも頼んどっちゃるわ」

 

私「ありがとうございます。みんなにも声かけておきます」

 

ここまで読んで

みなさんはどこがAさんの妄想かわかりますか?

 

 

 

 

息子を思う親心以外は全て妄想です。

 

あくまでも妄想による発言なので、Aさんは私に嘘をつくために

この話をしたのではなく、本当にそうだと思い込んで話しています。

 

私がこの話が妄想だと知った時の感想は

「事実ならなんて素敵な話だっただろうか」でした。

(※Aさんから許可を得て掲載しています。)

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終わり

 

ではまた✋