まだなにも決まっていない blog

全くブログのコンセプトは決まっていませんが更新はしていこうかと……。

精神医学の歴史外伝③「中国医薬行政の整備と医学革新」

みなさん、こんにちは、私です。

精神医学の歴史外伝

の続きになります。

 

 インドの医学がシルクロードで中国に伝わり

maedaaaclinic.hatenablog.com

 中国医学として独自に発展していきます。

maedaaaclinic.hatenablog.com

 そして遣唐使・遣隋使により日本に伝わっていきます。

maedaaaclinic.hatenablog.com

 

中国の唐が滅亡後の栄(960~1279)・金(1115~1234)

モンゴル帝国(蒙古)による元(1271~1368)

漢民族統治の明後期(1368~1644)を含めた約600余年間

中国は医学はさらに発展していきました。

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栄時代には学術と技術革命(羅針盤・火薬・印刷術)が発展し、

医薬行政と医学教育制度が整備され、

貧窮病者用の「安済房」や困窮者施設の「福田院」が設置された。

 

印刷術と製紙業の発達や「医書校正局」の設置は、

古典文献の収集・整理・校訂・出版活動を活発にしていく。

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基礎医学の面では、楊介(ようかい)による

人体解剖の「存真環中図(そんしんかんちゅうず)」(1113)が完成した。

 

その日本語訳とみられる梶原性全(1266?-1337)の「頓医抄」(1300頃)からは、

中国での人体解剖が西洋より約200年早かったと推定される。

 

医学革新

※1金元四大家が展開した学説は、

経理論(陰陽五行論・運気学説)で病因・病理学を整理し、

薬物学・処方学の治療体系や鍼灸学・按摩・養生学を再構築しようという

医学革新の試みであった。

 

これらの理論と技術は室町時代に田代三喜(1465-1537)により

※2「李朱学派」として日本へ導入された。

 

※1、2金元時代の医学の考え方

この時代以降の中国医学に大きな影響を与える4人

「劉完素(りゅうかんそ)」

「張従正(ちょうじゅうせい)」

「李杲(りこう)」

「朱震亨(しゅしんこう)」

の4人はそれぞれ異なった主張をもち、

それぞれ流派をたて、金元の四大家といわれる。

「李杲(りこう)」(1180-1251)と「朱震亨(しゅしんこう)」(1281-1358)の

考え方を李朱学派と呼ぶ

 

癲狂治療に革新

明代の虞摶(ぐたん)(1438-1517)は

朱震亨に私淑した民間医で「医学正伝」八巻(1515)を著した。

 

この書は田代三喜の弟子曲直瀬 道三(1507-1594)の啓廸集(1574)に引用され、

七情「怒・驚・喜・悲・思・憂・恐」の異常で生じる狂疾は薬石の効果がなく、

※「移情の法」で治療すべきと解説された。

※移情の法は素問でいう「移精変気論」に源流をもち、精神的なインパクトで

身体(肝・心・脾・肺・腎)のバランスを回復させ、

気の運行が正常化すれば精神のバランスが回復するという考え方である。

 

さらに発展した中国医学がまた日本の漢方医学を発展させていきました。

maedaaaclinic.hatenablog.com

 

 

 

続く

 

ではまた✋

意外と多い「反復性ストレイン損傷」

みなさん、こんにちは、私です。

 

今回は繰り返される動きで起こる

 「反復性ストレイン損傷:RSIs」についてです。

 

反復性ストレイン損傷は

 

あまり馴染みのない言葉ではありますが、

 

身近なものでは

 

五十肩や腱鞘炎、テニス肘やばね指などが

 

反復性ストレイン損傷になります。

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スポーツをする人はもちろんですが、

 

普段の家事や仕事でも

 

人は意外と同じ動きをよくとっています。

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例えばデスクワークであれば、

 

同じ姿勢でタイピングしているはずですし、

 

スーパーのレジ係であれば、

 

商品を右から左へと動かしているはずです。

 

このように長年繰り返される動きは、

 

確実に疲労が体に蓄積されていきます。

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反復性ストレイン損傷のはじまりは

 

「なんとなくだるい」「なんとなく動かしにくい」

 

といった症状ですので、

 

「まあ、ほっとけば治るか!」ともなるのですが、

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この状態の時が、とても大切で

 

すぐに整体などで治療できればひどくなることを防げます。

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ただ大半の人は、なんとなく治った気がしてしまい

 

そのまま症状を悪化していくことが多いです。

 

蓄積されていく疲労

 

次第にはっきりとした痛みや動かせない、

 

しびれ感に移行していき

 

日常生活に支障が出てから

 

相談なんてことも珍しいことではありません。

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ここまで症状が出てしまうと、蓄積された分、

 

治療が長引いてしまいます。

 

なにごとも早期発見・早期治療が大切です。

 

お心あたりがある方は、お早めに対処してください。

 

終わり

 

ではまた✋

精神医学の歴史外伝②「古代ギリシャ医学の継承:アラビア医学」

みなさん、こんにちは、私です。

 

精神医学の歴史外伝 

 の続きになります。

 

古代ギリシャヒポクラテスが提唱した「体液病理説」

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 その後ガレノスらによって、精神医学は思弁的なものへとなっていきます。

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その後キリスト教ローマ帝国によって公認されてからは、

精神医学はより魔術的なものへとなっていきます。

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ヒポクラテスからの古代ギリシャ医学が継承されていったのが

アラビア医学になります。

 

アラビア医学:西欧への広がり

アラビア医学とは、

バグダッド・エジプトのカイロ・スペインのコルドバなどで開花した

8~13世紀イスラム圏の医学を指します。

 

バグダッドの学校・図書館・翻訳所の「智恵の館」では、

ギリシャ、インド、ペルシャ学術書が翻訳され、

アラビア科学(医学・薬学・天文学・数学・化学など)の発展に貢献した。

 

またコルドババグダッドと覇を競い、

ヨーロッパの知識人が留学して諸文献をアラビア語からラテン語に翻訳し、

12世紀ルネサンスの基盤を提供することとなる。

maedaaaclinic.hatenablog.com

 

アル・ラージー(ラテン名ラーゼス:864-925)の

医学書には病気の本質や患者・医者関係、精神療法の記述があり、

精神障害を3種の「魂」(植物魂・動物魂・理性魂)の不足・過剰によるものとした。

 

アラビア医学は詩人・哲学者・医師であるペルシャ人イブン・シナー(980-1037)の

大著「医学典範(カノン)」に結実し、17世紀までアラビアと西欧の基本医学書として用いられた。

薬物療法

・個人衛生

・養生法

・物理療法

中国医学の脈象

・吸毒法

・薬物知識 

などが記載された。

 

病院の建設

イスラム文明のもう1つの貢献は「病院」の建設である。

9世紀にはバグダッド、エジプト、イベリア半島の都市に、

喜捨を戒律とする篤志家によって病院が寄進された。

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病室・モスク・学院・図書館・孤児院などが附属する病院の先駆けで、

医学校はどの宗教の学生も受け入れた。

 

精神病者は神の霊感を受けた人とされ、キリスト教徒よりは人道的に扱い

「モリスタン」と呼ばれる病院が主要都市に建設された。

 

アラビア医学の隆盛は

東方ではモンゴルの侵入、西方ではキリスト教会によるイスラム教徒への差別などに

より13世紀を頂点として衰退した。

 続く

 

ではまた✋

ストレスが体に表れる「心身症」

みなさん、こんにちは、私です。

 

今回はストレスが体に表れる「心身症」についてです。

 

心身症はみなさん聞いたことはありますでしょうか?

 

意外と身近な病気で

ストレスなどの精神的なものが体に不調を与える病気です。

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人の心の動きというのは、体にもろに表現されたりします。

 

例を出すと

 

・プレゼンや大舞台で緊張から手足が震える。

 

・冷や汗やワキ汗。

 

・気分的に嫌だなと思うと体が重いなど

 

これがもし、

「頭が痛い」「胃が痛い」「眠れない」

などであれば、心身症と呼びます。

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一時的な心身症の症状は過度のストレスでは誰にでも

 

起こる生理的な現象ですので心配はないのですが、

 

繰り返し症状が出る場合、

 

同じ仕事や役割をこなすのに慣れてきたと思っても

 

症状が続くなど、

 

仕事や学校に行く前や最中の下痢や嘔吐、

 

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逆流性食道炎過敏性腸症候群とも最近では呼ばれていますが、

心身症の一種です。

 

心身症は昔からあったのですが

 

現代日本でより多様な仕事や役割を求められる中で

 

かなりの人が発症しています。

 

しかし心身症は体に影響を与えているのですが、

 

本人がそれを心身症だとは自覚していなかったり、

 

もし症状が出ていても、

もう自身が慣れてしまっていて「まぁいつものことか」と

見逃されてしまっているケースが本当に多いです。

 

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心身症の具体的な症状は

 

ストレスを感じると胃が痛くなることや、頭痛がする

 

ストレスで食事もノドを通らない、

 

その逆にいつもより食べてしまう

 

体の痛みもそうですし、

 

めまい、糖尿病、胃潰瘍

 

ED、月経障害、円形脱毛症など

 

今ここで全てを書き切れないほど多岐にわたります。

 

心身症の特徴は

 

人によりどんな症状を出すのかはさまざまですが、

 

ストレスを感じると必ず同じところに症状が出ることです。

 

胃が痛くなる人であれば、毎回胃だけです。

症状がさまざまなところに移動していくということはありません。

 

もしそうであれば、転換性障害になります。

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心身症は万病のきっかけになります。

 

はじめは胃が痛いだけでも

 

慢性的に胃に痛みがあればやがて

 

痛みが背中や肩にまで広がっていき、

 

痛みから姿勢の悪さなどにもつながってきます。

 

寝てもスッキリしない慢性的な疲労感や

 

サプリなど試しても実感がない人などは

 

心身症の可能性があります。

 

早めの休息をおすすめします。

 

交通事故と心身症

あまり知られていませんが、年に二回

交通事故を起こしてしまった方、

または交通事故に巻き込まれた方は心身症かもしれません。

 

心身症では慢性的な注意の散漫が見られます。

 

ぼーっとしていないつもりでも、集中出来ていない

心身症では事故を起こすリスクが増えると言われています。

 

もし事故にあわれてしまった方は

 

必ずまずは整形外科などの病院にいってください。

 

慰謝料の請求などに関わりますので、

 

病院をすっ飛ばして整骨院などに行くと

 

慰謝料請求出来ない可能性がありますので

 

気をつけてください。

 

もし整骨院に通いたいのであれば、

 

病院のDrから整骨院に通う紹介状があって通うようにしてください。

 

あとで慰謝料請求出来ずに自分が損になりますので、

 

交通事故にあわれた時は、まずは病院での受診を強く勧めます。

 

それから自身の交通事故での治療をどうしていくか

 

決めてください。

 

交通事故専門に取り扱う弁護士さんもいますので、

一度調べてもらうと確実かと思います。

 

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終わり

 

ではまた✋

精神医学の歴史外伝①「中世医術-東西世界の交流」

みなさん、こんにちは、私です。

 

今回から精神医学の歴史外伝が始まります。

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では語りきれなかった医学の歴史になります。

 

10世紀後半から16世紀後半

日本では平安中期の時代から安土桃山時代の約600年の間

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西方では、イスラム帝国遊牧民

ラクダ・馬・船を駆使したユーラシア商業圏を成立させます。

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東西交易は中国の羅針盤・火薬の技術・活版印刷技術を

アラビア・ヨーロッパへと伝え、ヨーロッパで改良が加えられていく。

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と同時に黒死病(ペスト)伝播の経路となっていく。

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12世紀西欧は十字軍や国土回復運動を介して、

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ギリシャイスラム文化に出会い、膨大な著作がラテン語に翻訳され、

パリやボローニャを先駆けとする学問と教育の振興につながっていきます。

 

14~15世紀にはペスト・飢饉が経済危機や分立抗争を多発させる

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このカラスのくちばしのようなペストマスクの形には理由があり、

伝染病はウィルスや菌が原因ではなく、※「瘴気(しょうき)」が原因とされた。

※悪い空気、淀んだ空気、不衛生なところからのくさい空気など

そのためペストマスクの先端には「いい空気」ということで、

いい香りのするハーブが詰められていました。

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 15世紀のヨーロッパで盛んに行われた魔女狩り

魔女狩りで処刑されたの人間だけでなく、

魔女のペットとされた猫も街から姿を消していきます。

そうなると捕食者がいなくなったネズミが爆発的に増殖

結果的にネズミがペストをばらまいていくこととなります。

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15~16世紀の大航海時代の太平洋-インド航路の開拓や新大陸の発見が、

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ヨーロッパ主導の太平洋経済圏の幕開けとなった。

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16世紀の半ばには、ポルトガル人が日本の種子島に漂着し、南蛮貿易の端緒となった。

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続く

 

ではまた✋

 

【あわせて読んでね】精神医学の歴史:世界史篇と日本篇 

maedaaaclinic.hatenablog.com

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まばたきの不思議

みなさん、こんにちは、私です。

 

まばたきには3種類

 

普段勝手に行ってくれる自発性まばたきと

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自分が意識しておこなう随意性まばたき

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光が差し込んだ時に「まぶしっ!」やゴミが入った時などの

 反射性まばたきがあります。

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まばたきは1分間あたり個人差はありますが

 

通常時であれば子どもで4~18回、

 

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大人で10~30回になります。

 

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これに精神的な緊張が加わると回数が増えたりします。

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まばたきは目を洗浄し清潔を保つこと

ピント調節、ドライアイの防止などの役割があります。

 

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今これを読まれている方で

 

一度試していただきたいのが、

 

数回まばたきをしてみてください

 

 

 

どうでしょうか?

 

 

 

まばたきの速さは平均で100 – 150m/sだと言われています。

 

まばたき(瞬き)というぐらいですので、一瞬です。

 

それでも自分でまばたきを行うと、

 

一瞬でも視界が遮られることに気付かないでしょうか?

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それなのに普段無意識で行われているまばたきでは

視界は遮られない

 

まばたきが少ない人でも

6秒に一回はまばたきをしています。

 

まぶたを一瞬でも閉じるわけですので、

 

その度ごとに視界が遮られないとおかしいはず、

 

普段のまばたきで視界が遮られないのには、

 

脳が関与しています。

 

6秒に一回、早い人では2秒に一回、視界が遮られたら、

 

生活上で結構うっとうしいと思いますし、

 

単純に危ないですよね?

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脳は

 

まばたき前の映像➡

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まばたき➡

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まばたき後の映像

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が途切れてしまわないように、

 

自動で補正してくれています。

 

そのおかげで、

 

普段の私たちは映像が途切れてしまうことなく、

 

まばたきを行うことが出来ています。

終わり

 

ではまた✋

日本精神医学の歴史最終回⑭「私宅監置廃止と長期入院」

みなさん、こんにちは、私です。

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 の続きになります。

 

日本精神医学の歴史、今回が最終回となります。

 

呉秀三らの活躍により1919年(大正8年)「精神病院法」が制定され、

全国に精神病院が設立されていくことになります。

 

しかし私宅監置がなくなることはありませんでした。

 

1879年、上野公園内に開設された東京府癲狂院

その後東京府巣鴨病院と改称し、呉秀三が院長として就任します。

1919年に再び移転し、現在は東京都立松沢病院となっています。

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治療は西洋の治療法が日本でも採用され、

大正、昭和初期には発熱療法やショック療法

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 そしてロボトミー手術も1942年に導入されました。

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 今でも手術室として使われていた名残が残る精神科病院もあったりします。

 

1952年に抗精神病薬クロルプロマジンの登場により、

1955年日本でも薬価基準が設けられることとなる。

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精神衛生法

第二次世界大戦が終わり、戦後の1950年(昭和25年)に

GHQ主導で制定された法律「精神衛生法」により

私宅監置は禁止され、ようやく近代的な精神衛生対策の第一歩が踏み出された。

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都道府県に精神病院設置が義務づけられ、

精神衛生相談所、訪問指導の規定が明示された。

措置入院制度、精神衛生鑑定医制度が制定された。

 

民間の精神病院も急増していく中、

精神衛生法の中には強制的な入院制度が設けられて

いたことから、患者が社会から隔離された状態は続いたままである。

これは今でも精神科病院で問題視されている長期入院である。

 

ライシャワー事件

1964年(昭和34年)3月、ライシャワー駐日米大使が統合失調症の少年に刺されて

負傷した事件。いわゆるライシャワー事件が起きる。

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これが契機になって精神障害者に対する治安強化が強化するような動きが起こったが、

この動きに対して日本精神神経学会を中心に強い反対運動が行われ、

精神衛生審議会はこれを機会に精神衛生法を全面的に改正し、監置の強化ではなく、

通院治療や社会復帰対策などを含めた精神科医療体系の充実によって対処すべきことを

答申した。

 

1965年(昭和40年)に精神衛生法の一部が改正され、

都道府県の精神衛生センター設置、地方精神衛生審議会の設置、

精神障害者の通院医療公費負担制度新設などが認められた。

 

宇都宮病院事件

ウィキペディア引用

宇都宮病院事件とは、

1983年に、栃木県宇都宮市にある精神科病院報徳会宇都宮病院で、

看護職員らの暴行によって、患者2名が死亡した事件である。

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宇都宮病院は、

他の精神科病院で対応に苦慮する粗暴な患者を受け入れてきた病院であったが、

事件以前から私刑として

「看護師に診療を行わせる」

「患者の虐待」

作業療法と称して石川院長一族の企業で働かせる」

「病院裏の畑で農作業に従事させ収穫物を職員に転売する」

「ベッド数を上回る患者を入院させる」

「死亡した患者を違法に解剖する」などの違法行為が行われていた。

 

1983年4月、食事の内容に不満を漏らした入院患者が

看護職員に金属パイプで約20分にわたって乱打され、約4時間後に死亡した。

また同年12月にも、見舞いに来た知人に病院の現状を訴えた別の患者が、

職員らに殴られ翌日に急死した。

 

精神科病院ゆえの閉鎖病棟や閉鎖性により、

上記の実態や患者死亡事件は公にならなかったが、

事件の翌年1984年3月14日に、朝日新聞朝刊によって報道され、

日本の世論の大きな注目を集め、国会でも精神障害者の人権保障の面から、

日本国政府の対応が糾された。

 

この事件をきっかけに、国連人権委員会などの国際機関でも、

日本の精神保健や精神医療現場における人権蹂躙が取り上げられ、

世界中から日本国政府に非難が集中した結果、

1987年には、

精神衛生法の改正法である「精神保健法(現 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)」が成立し、精神障害者本人の意思に基づく任意入院制度や開放病棟を創設するなど、患者の処遇改善が図られた。

引用ここまで

 

いつの時代もなにか起きてからでないと法律が改正されないというのは

悲しい現実です。

 

精神保健法

1988年(昭和63年)宇都宮病院事件を契機に精神衛生法は改正され、

名称も新たに「精神保健法」となり、人権尊重と社会復帰対策が盛り込まれます。

 

精神障害者の長期的な入院、閉鎖病棟の問題は世界的な問題となり、

1991年国連総会で、患者の自立性の維持、促進を目指す国連原則が採択されます。

 

精神保健福祉法

そして1995年、患者の自己決定権を尊重し、原則任意での入院とすることや、

医療保護入院制度が可能になった精神保健福祉法が制定されます。

 

医療観察法

2003年の医療観察法では日本で初めて司法精神病棟を指定入院医療機関に設置

 

障害者自立支援法から障害者総合支援法

2006年障害者全体の地域での自立した生活を目指す障害者自立支援法が制定されます。

そして2013年、障害者自立支援法は障害者総合支援法となりました。

 

さいごに

精神衛生法が制定されたことにより、私宅監置が禁止となりましたが、

沖縄は1972年の本土復帰まで私宅監置が続けられていました。

 

またみなさんは

2018年兵庫県三田市の監禁事件・2017年大坂寝屋川市の監禁死事件を

ご存じでしょうか?

2010年代になってもまだ私宅監置が存在していた事件になります。

 

薬について

精神科医療で聞かれる言葉に「薬漬けにされる」というのは聞いたことが

ありますでしょうか?

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確かに一律そんな時代もありました。

複数の薬を同時にという多量多剤の時代です。

 

ただ今は必要最低限だけの処方が当たり前の時代になっています。

例えばうつ病であれば、いきなり薬を出さず、

認知行動療法と呼ばれる治療法が選択されます。

それでも改善されない場合には薬の処方など、

これは薬による依存性に配慮したものです。

 

なるべくなら薬に頼らない療法や、漢方との併用など、

日本の精神科医療も変化しています。

 

今もし大量に薬を出されている場合、

担当医からの説明とセカンドオピニオンというのも考えてもいいかもしれません。

1錠だけで済んでいる方も事実いらっしゃいます。

薬の力に頼りがちのドクターは大量に出す傾向が高いです。

 

また副作用の少ないとされる今の薬より、

臨床で使われだした歴の長い薬を優先している場合もあります。

大事な仕事を付き合いの長い人に任すか?今さっき出会った人に任すか?

と同じ理屈になるのですが、

このような場合を信用度の高い薬と呼ばれますが、

副作用が今の薬より出ることになります。

 

加えて大量にというのは、副作用止めが含まれていることがあります。

わかりやすくは便秘の薬など、その場合は必要性のある薬と思われますので、

数が増えてしまうことは仕方がない場合があります。

その場合も医師からの説明があったかどうかは大切です。

 

精神障害者の長期に渡る入院

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日本の精神科病院において

長期入院になってしまっている主な理由は帰る場所がないことです。

 

これは長く入院していて物理的に家がない場合もありますが、

退院することを家族が拒否している。

もしくは地域住民が拒否しているというものがあり、

これを社会的入院といいます。

 

本人はいつでも退院できるぐらい精神症状が落ち着いていたとしても

そのような問題が生じています。

 

社会的入院

一度自分のことで考えてもらいたいのですが、

過去に盛大に暴れたことがある人が明日退院してくる

自分の家から50メートル圏内の場所に、となった時、

快く受け入れられますか?

その人に「退院おめでとう!」と言えますか?

 

退院支援

長期入院の解消には、精神科病院からの退院しかありません。

「元の家に帰れない」「親族の力も借りることができない」となると、

場所を変えて一人暮らしか、違う医療的なサービスが受けられる施設に

いくことになります。

 

そのために入院生活中に生活の訓練(リハビリ)をしていくことに

なるのですが、

 

患者さんの中には自ら望んで退院しない人もいます。

本人も長い入院生活の中で「今更退院するのは怖い」

例えば若い時から精神科病院で過ごし、学歴も職歴もない、

病院内では衣食住が保障されていますが、退院後一人でどう過ごせばいいのか?

 

今現在長期入院を強いられている人たちにはこのようなことが起きています。

 

海外では日本とは逆に、入院期間が短すぎることで、

退院後ホームレス生活を余儀なくされているケースがあります。

イタリアの一部地域では精神科病院を無くしました。

そのことにより強制的に退院していった人たちは

ホームレスにならざるを得なかったわけです。

maedaaaclinic.hatenablog.com

 

精神疾患に対する誤解

みなさんは精神疾患についてどんな印象をお持ちでしょうか?

最近では適応障害うつ病はかなり有名になっているとは思いますが、

 

統合失調症のことは知っていますか?

統合失調症は100人に1人ととても身近な精神疾患です。

ぜんそくと同じぐらいになります。

しかしよく知らない人が大半だと思います。

 

ぜんそくと同じぐらい身近な病気なのになぜ知らないのか?

 

答えは簡単です。

「誰も教えないからです」

 

メディアでも取り上げられることはありません。

もし取り上げられるとしたら犯罪があった時です。

「○○を起こした犯人は統合失調症で~」

「過去に精神科病院の入院歴があり~」など

 

必ずこのようにメディアは報道します。

 

これだと”統合失調症は犯罪を起こす”

印象だけが視聴者にすり込まれていきます。

 

この場を借りて私が言いたいのは、

「決してそんなことはない」ということです。

 

人口の中で犯罪行為を犯す人はごく一部の人間になりますが、

たまたまその人が統合失調症の診断を受けていただけです。

 

統合失調症だから犯罪行為に至ってしまったのではありません。

 

統合失調症に関係なく、犯罪者はどんな状況でも犯罪を犯します。

病気がそうさせたのではなく、その人の人格の問題です。

 

私が治療中に経験したことでは、

ある統合失調症の診断を受けている人にこんなことを言われました。

「わし、怒らしたらどうなるかわかっとんやろな!」

「お前一人殺しても、わしは罪に問われんのやぞ!」

精神疾患持ちなめとったらあかんぞ!」

と言われたことがあります。

 

この人は統合失調症の名前を借りた、ただの人格障害だと思います。

純粋な統合失調症の人はこんなことはいいませんし、

「人を殺す」や「罪に問われない」など日頃考えている時点で、

異常者です。

 

またこれも誤解されていますが、「しっかり罪に問われます」

薬物療法がしっかりと確立されていない時代や、

入院治療が出来なかった時代には、「心身衰弱」で

ということもありましたが、

 

今は薬物療法、入院治療も確立されていますので、

よっぽどのことがない限り「責任能力あり」になります。

 

病が怖いのではなく、結局は人です。

 

世界同様、日本の精神医学・精神科治療はまだ始まったばかりです。

そして過去に行われてきたことの精算も未だ出来ていません。

 

 

 

統合失調症とは?】過去の記事をまとめております。

maedaaaclinic.hatenablog.com

maedaaaclinic.hatenablog.com

maedaaaclinic.hatenablog.com

maedaaaclinic.hatenablog.commaedaaaclinic.hatenablog.com

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【あわせて読んでね】精神医学の歴史シリーズ

maedaaaclinic.hatenablog.com

 

 

 次回からは書ききれなかった「精神医学の歴史外伝」

を書いていこうと思います。

 

そちらもお付き合いいただけますとうれしいです。

 

終わり

 

ではまた✋